2012年6月21日(木) 第5面

〈現場のアイデア あの手この手〉徳永自動車(長崎県諫早市)

写真を拡大

徳永亨社長

写真を拡大

ゆったりとした工場内には多数の入庫車両が並ぶ

写真を拡大

ハイブリッド車の大破修理にも対応する

写真を拡大

タフコートの施工は地域で唯一

働きやすい環境づくりが作業効率高める、スタッフが自ら考え行動する

 長崎県諫早市で板金塗装(BP)を中心に、車検整備や車両販売などを手がけるのが徳永自動車。1957年創業と歴史が長い同社は、長崎県内のBP事業者として草分け的存在であり、地域最大級の規模を誇る。創業者である先代の後を引き継ぐ徳永亨社長は「現場のスタッフが自ら考え行動する」ことをモットーとしており、従業員満足度の向上に力を注いでいる。

時代の流れとともに事業方針を変更

 57年に「徳永自動車鈑金工場」として創業した同社は、大型車のBPをメーンに事業を展開。61年には認証を取得するなど、長崎県内のBP事業者として常に先を行く存在だ。その後、モータリゼーションの発展とともに乗用車が普及するとともに、大型車のサイズも拡大した。「設備が車両の大型化に対応できなくなった」(同)こともあり、乗用車に特化するなど時代の流れとともに事業方針を変更。82年に社名を徳永自動車に改称し、88年には現在の工場に建て替えた。

BPを中心に防錆処理などもこなす

 現在の事業内容はBPが中心で、入庫台数は月70台前後となっている。車検は月15台、車両販売は紹介程度と少ない。BPの入庫比率はディーラーからが7割と大半を占め、保険会社からの紹介が2割、直受1割。スタッフは板金3人、塗装4人に加え、整備や営業など計13人が在籍する。
 受注先は国産ディーラーから輸入車販売店まで幅広い。ディーラーからの入庫獲得を進める同社は「まずは仕上がりを見てもらう」(同)と長年の実績に裏付けされた仕上がりに絶対の自信を見せる。そのうえで「ニーズに合った作業の提供」(同)が重要であり、納期や仕上がりなど様々な依頼に対応できる体制を構築している。
 また、下回りやドア内側などに施す防錆処理「タフコート」も実施している。同地区におけるタフコートの施工店舗は同社が唯一となる。独特の地形の長崎は海岸に面している地域も多く、乗用車以外にも「救急車やフォークリフトなど様々なニーズがある」(同)という。

現場主導でノウハウを共有

 作業効率化にも注力しており、積極的な設備投資も行っている。設備は「従業員が使いやすい設備の購入」(同)を心がけており、スタッフ自ら工具ショーなどに足を運び、作業効率の向上に適した設備を研究している。
 また、技術教育では先輩スタッフの指導を徹底するなど、長年培ってきた現場のノウハウを共有することに力を注ぐ。
 このように同社では現場主義を徹底しており、スタッフが作業しやすい環境を整えることを重要視している。働きやすい環境づくりが作業効率を高め、残業することなく時間内に作業を終了させるなど「従業員のモチベーション向上につながっている」(同)という。

スタッフとの信頼関係

 徳永社長は日々「スタッフの話をよく聞く」ことを意識しているという。コミュニケーションを図ることで、従業員との信頼関係を構築することが企業として最も重要だと考えるためだ。スタッフの考えや行動を尊重し、強い企業体質の構築を目指している。


 〈記者の目〉長崎では老舗のBP事業者である同社だが、工場内には若いスタッフが多い。「ちょうど世代交代の時期で、ここ数年でスタッフが入れ代った」(同)という。「最後は人」という徳永社長の言葉は、魅力ある業界づくりに対する一つの答えでもある。
(浅井 大樹)

有限会社 徳永自動車
所在地:長崎県諫早市多良見町木床1601
電話:0957―43―0234